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ちと、人様とお話していて盛り上がってしまったので…
はっきりわからなきゃいいかなーと(おい)
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Courage of a coward.
逃げ込む場所はいつも決まっていた。
胸を開かれ、何かを滅茶苦茶に詰め込まれたような不安や葛藤に襲われて、笑い顔も作れなくなった時、きとりはいつもそこに逃げ込む。
独りにならずに孤独になれる場所。
そこには大抵先客が居て、時に無言で時に短い挨拶で、きとりを迎えてくれた。その人はいつも、何にでも興味や好意を示す代わりに心を閉じるのが苦手なきとりが、その胸に詰め込まれた何かに触れて欲しくない時は一切干渉せず、言葉を求める時は厳しくも親身の言葉をくれる。
珍しく表情の無いきとりが重いドアを開けると、四方を冷たいコンクリートで囲まれた、窓が一つあるだけの部屋の中にやはりその人はいた。中央に置かれた机と椅子、そしてその机と椅子に背を向けて置かれたソファ。それ以外にはその人しか存在しない。
きとりは挨拶もなく、一瞬その人の姿を確認しただけで、ソファへ身を沈めた。ひょろ長い手足を縮めるようにして膝を抱え、その間に顔を埋める。椅子に掛けた人も、きとりには一顧もくれず机の上に広げられた白紙のノートに目を落としていた。
時折、外から自動車のクラクションや微かなざわめきが聞こえる他は、二人の呼吸音だけが響く。
不意に、きとりが顔上げた。元々健康的とはいえない顔色が、更に血の気を失っている。平素は締まりなく綻んでいる口元は一文字に結ばれて、笑顔でもなければ怒りでもない、悲しみですらない形を作っていた。
虚脱。それが恐らく、最も近い。
「こころがいたい」
表情の無い唇からは、表情の無い音が出た。
「心臓か。良くない。病院へ行きなさい」
相変わらず机の上へ視線を落としたままで、椅子に掛けた人は応える。
きとりは僅かに口元を歪めただけで、それには言及しなかった。ぼんやりと中空を見つめて、呟く。
「吾は何をしょうておるんじゃろうか」
普段は意識して使わないようにしている土地の言葉で呟かれたそれに、椅子の人は初めて顔をきとりの方へ向けた。その位置からは、きとりのふわふわと跳ねた茶色い髪しか見えない。
「十字架、とか、そなものじゃろうか」
きとりは振り向きもせず、中空に向かって淡々と吐き出す。
「さとも、墓標、なんじゃろうか」
「さぁね」
斬る様に一言返すと、椅子の人はまた机の上に目を戻した。
「おれば、なんか出来たじゃろうか」
「さぁね」
「なんか、」
「きとり」
言い掛けて、遮られる。思わず振り返ると、椅子の人はきとりの方へ顔を向けていた。薄暗くて顔は見えない。しかし、きつく見据えられているような気がした。離れているのに、両肩を掴まれ、揺さぶられるような感覚がある。
二、三度瞬きしたきとりの顔に、表情が戻った。
「でも」
ソファに背に両手を置き、どの表情を浮かべるべきなのか惑うように頬を引き攣らせて、身を乗り出す。
「もしかしたら、何か出来たかも。死ななかったかも知れないし。それに……皆助かったか、」
「お前、どれだけ下らない事を言ってるか、判ってるか?」
机へ目を戻した椅子の人は顔を上げないまま、再びきとりの言葉を遮った。
「下らないって……判ってるよ。『仮定法過去に意味は無い』んでしょ」
今まで何度も言われた台詞を、繰り返す。椅子の人がきとりを見ないまま頷いた。
「でも…」
何故、あの時怖気づいてしまったのか。悲しくて、悔しくて。それでも、生きている自分に安堵している自分。過去に対しての根拠の無い希望的観測に根付いた憤激に胸を焦がされる。
勿論、きとりが強制して死地に赴かせたわけではない。皆、己の意思でそこに行き、己の意思で行動した。筈なのに。
知らず、片手で左胸を押さえる。そこに凝る、罪悪感。
「私は、あれがどんなものか知っている筈なのに」
胸痛に耐える様に、或いは泣き出そうとする様にきとりは眉を寄せた。
”その時”の心持を、きとりは一部だけ感じ取った事がある。勿論、実際に身体に食い込む刃は無いけれど。
「疑似体験と現実を混同するのは良くないな」
椅子の人の声に、僅かに苦笑が混じった。
「知っているから、退いたんだろうに」
確かにそれはあるかもしれない。きとりは黙り込む。
しかし、心の何処かでずっと思い込んでいたのも事実だ。
あれは、現実には有り得ないと。
あれは、自分や関わりある全てには訪れないものだと。
だから、それが自分と関わりあるものに降りかかった時、きとりは混乱し恐怖した。それを知った瞬間、目の前が暗くなり気付くと誰もいないこの部屋にいた。ここまでどうして辿り着いたのかは覚えていない。上靴は履いたままだった。喉が酷く痛かったのは、何かを叫んだからかもしれない。足が酷く震えていて、歩くのも難しかった。
「自虐に陶酔するのは勝手だが」
唇を噛み締めるきとりに、冷たい声が掛かる。びくりと顔を上げれば、椅子の人はやはり白紙のノートを見つめたままで続けた。
「勇気と無謀は違う。分を弁えなさい。剣を振り回すだけが戦いじゃないだろう。逃亡も撤退も降伏も、戦略の内だ」
「自分で言ってて、詭弁だと思わない?」
きとりは暗く哂った。
「思わないね」
椅子の人があっさりと言い切る。軽い言い様に籠められた重厚な威圧感に、きとりはたじろぐ。
「命が無ければ、命を救うなど到底無理だから」
命が無ければ?と、きとりは椅子の人へ滅多に見せない皮肉な視線を投げた。気付いた椅子の人は肩を竦める。
「マイノリティを論うのは感心しないな」
「…マジョリティで無い事は確かだけど」
きとりがふいと横を向く。椅子の人がふっと小さく息を吐くのが聞こえた。笑ったのかもしれない。
「少しは調子が戻ってきたか」
「私はいつでも絶好調」
きとりは青白い顔で引き攣った笑みを浮かべる。
「馬鹿な子だね」
椅子の人に呟かれたそれは、しかし嫌な響きではなかった。
今度は本当に微かながらも微笑んで、きとりがソファを立つ。
「帰るね」
椅子の人はノートに目を落としたまま、小さく頷いた。
「ああ、人前に出るなら、もう少しマシな顔の練習をしてからにしなさい」
その最後の忠告には返事をせずに、ひらひらと手を振る。
明るい空の下に出て思い切り伸びをすると、きとりは軽く目を伏せた。そうするとまだ、”怖いもの”が押し寄せてきそうになる。それでも、以前より少し、それをきちんと見ようとする自分がいる。
あの人はきとりの心の闇だとかそんなモノを、食べているのかもしれないとちらりと思った。
目を開けるとばかみたいに青い空が広がっている。肺の中の空気を全部吐き出してしまって、序でに欠伸をしてみた。
今はまだ、自分の弱さが痛くて、堪らない。もう暫くは、眠れぬ夜が続くかもしれない。笑いながら泣き喚いていないと、おかしくなりそうだ。
それでもきとりは今度こそ戦場に立つだろう。そうして、勝てぬ敵を前にした時、きとりは身を翻して逃げ出すのだ。大事なものを片っ端から抱えて、一目散に逃げよう。
剣が折れるまで立ち向かっていく事だけが、何かを守る術じゃない。
命さえあるなら、敵前逃亡だって戦略的撤退に出来る。ならば、殴られても詰られても臆病者と罵られようが、何度でも逃げれば良い。それで悪者になるのなら、笑って甘受しよう。
さてさて、全員担げるかなあ。身体鍛えなくっちゃと冗談めかして呟きながら、きとりは溢れる光の中へ足を踏み出した。
十字架だか墓標だかそれ以外の何かだか、正体の良く判らない小さな重石は心の隅に抱えたまま、きとりの身体は恐らく今後何度となく逃げ出すだろう。
心は、もう逃げない。
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あとがき@はいご
担げねえよ!
いきなりツッコミです、はいすいません。
今の時点で4人。担げないだろう、お前じゃ!
恥ずかしいのでテンションおかしいです。
えっと。殲滅戦後、みたいな。
みたいなとか言うな。
きとりにとって衝撃的だったアレ以降暫くの間、笑いながら半泣きで
テンション滅茶苦茶だったきとり。
迷惑極まりないわ!
なんとかかんとか、少しずつ折り合いつけまして、今は落ち着いていますが。
多分←多分かよ;;;
一応、バックアップで参加してたんですが、
きとり的にはそれでも何か思う所あるらしく…難儀だな。
ていうか、阿呆だな。ばーかばーか←PC虐待(こら;)
えーと、まあ、なんていうか。
慎重派に傾きました、パラメータが←パラメータとか言わない
ていうか、椅子の人って誰よ。
とりあえず生きている人ではないようです。
で、えーと。
すいません。
ツッコミ足りません。意味もなくツッコんで良いですか。
欧米か!欧米か!欧米か!欧米か!欧米かーーー!!!
ふう。落ち着きました。
やっぱりあれです。笑いの欠片も無いものを書くと
精神の安定を欠きます、はいご←どうなのよ、それ。
とりあえず、変なのは変なのなりに頑張っているようです。
と言う事で。はい(何)
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